やさしい航空技術ー空力設計
軽量飛行機では、翼に支柱を使うことが多いです。
その支柱断面は円柱ではなく、流線型にしています。
円柱断面を流線型にすることにより、この部分の抗力が10分の1になります。
軽量飛行機の翼支柱断面は流線型
円柱断面の抗力係数は非常に大きいことが知られています。円柱断面の先端半径を小さくし、後ろを緩やかに絞ると圧力抗力が減らすことができます。この形状が流線型です。摩擦抗力が増えますが、増え方は圧力抗力減少分をはるかに下回ります。
差し引きして抗力になる
カルマン渦
黄色部が圧力抗力を生じる
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圧力抗力
流線型
青色部は圧力推力を生じる
円柱周りの圧力分布
円柱
物体に気流があたると、物体表面圧力は遠く離れた周辺の圧力(周辺圧力)と異なる圧力になります。
(物体表面圧力ー周辺圧力)x(圧力が同じとみなせる微小面積)
=(微小面積部の圧力による法線方向力)
微小面積部にかかるこの法線方向力の気流方向成分を、物体全体に加え合わせた値が圧力抗力となります。
円柱断面の物体の圧力分布(法線方向力)の例を左に示します。
円柱の抗力はその直径の10倍の厚みの翼断面の抗力と同じ
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円柱はその直径の10倍の厚みの翼(流線型)とほぼ同じ圧力抗力をもちます。
物体後流の一様流からの速度低下の程度は抗力を示しますので、後流の流れ方向成分の時間平均流速を調べると、両者ほぼ同じことがわかります。すなわち抗力がほぼ同じということです。
なお、円柱後流の時間平均流速はこのようですが、時間変化を追って調べると、カルマン渦と呼ばれる上下交互に現れる渦が発生しています。これは円柱に振動を与えますので、騒音源や振動破壊の原因になります。