やさしい航空技術ー空力設計
2010年5月名古屋商工会議所主催シリーズ先端技術セミナーにおける講演内容を主に説明します。
どんな商品開発にせよ、顧客・市場があってどのような使い方をするかを考えて仕事にとりかかります。飛行機では使い方-運用要求を決めることがその出発点です。これは運用者と設計者と協議して決めます。
運用要求には、航続距離、ペイロード(乗客数など)、飛行速度、滑走距離などがあります。
そして、設計を始めるにあたって、まず全体形状を概定、それを基本に設計・計算とトレードオフ(損得勘定)を行います。
こうして、機体全備重量、主翼面積を概定することになります。これをサイジングと称しています。
そのためには、空力、構造、エンジン、装備品などの技術水準に基づく設計条件を知り尽くしていることが必要です。
新規航空機開発を決心するには、経験と新技術に基づく運用要求達成度、顧客要求と市場規模の見極めが重要になります。
このように本格開発にとりかかる前の検討作業を初期設計といいます。初期設計だけして消えた航空機の開発計画はいくらでもあります。
YS-11後継機の計画がそうでした。ボーイング787では本格開発開始までには、膨大な初期設計の作業があったことでしょう。
飛行機の本格的開発の前に初期設計をする
初期設計
空力設計の役割は初期設計作業で大きな役割を占めます。例えば揚力がどれだけ出るか見極めることは、ライト兄弟機の昔から現用ジャンボ機でも大きな課題でした。詳しくはこれからの説明になります。
空力設計は本格開発になっても当然重要で、その役割は「外形形状を決めること」と言っていいでしょう。決め手は次のことを考えることにあります。
●揚力はどれだけ発生するか
●揚力の割りに抗力を少なくする工夫
●姿勢の安定はどうして保つか
●操縦をし易く
●軽くてパワーの出るエンジン装備
●構造設計との調和
●搭載装備品との調和
●環境適合性ーこれからの飛行機
Copyright (C) 2010 by Hidehiko Nishiwaki Professional Engineer AeroSpace
Registed No.45904 . All Rights Reserved
Copyright (C) 2010 by Hidehiko Nishiwaki Professional Engineer AeroSpace
Registed No.45904 . All Rights Reserved