上図を真横から見て、運動量ベクトルFの変化をみると左図のとおり、翼は Fを 2ε 下方に曲げます。運動量の時間あたり変化は力であり、その力は反作用として流体から L の揚力とDi の誘導抗力を受けます。

誘導抗力減少のための設計
誘導抗力減少のための設計には、次のような方法があります。
@翼幅あたりの揚力=スパンローディングを減らす。
これは上に述べたものです。
A翼幅方向の揚力分布を楕円分布に近づける。
同じスパンローディングでは、翼幅方向揚力分布が楕円分布のとき最小の誘導抗力となる、という理論によっています。
B翼端形状の工夫
これは、ウィングレットが代表例です。いずれも空力的に翼幅が増えるような効果を狙っています。NASARichard Whitcomb 氏によるもので現代の多くの旅客機に付いています。

上記@に対しては、翼幅を広げる必要があり、揚力による翼付け根の上曲げモーメントが大きくなります。そのため構造重量が増えます。
翼幅を増やさないで同じ効果を生むことが望ましいわけです。Aの例はバトルオブブリテンで活躍したスピットファイアで翼平面形が楕円です。
Bの例、Boeing747-400は 1985年10月民間輸送機で初めてウィングレット採用しました。

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やさしい航空技術ー空力設計

初期設計
外形形状
揚力
安定操縦
構造・装備との調和

バトルオブブリテンで活躍したスピットファイアは翼平面形が楕円
美しいけど、製作工数大、翼端失速起こり易い、など問題あり。

重量ほぼ同じ


Boeing747-400は 1985年10月民間輸送機で初めてウィングレット採用
日本の国内線用B-747にはウィングレットはない。短距離飛行では効果があまりないから。


流管の断面積は翼幅をとすると、π2/4,飛行速度をV,密度をρとすると単位時間あたり(πb2/4)ρV の質量、単位時間あたり運動量が(π2/4)ρV 2F の気流が翼を過ぎ去ります。

揚力の項では翼断面のみ考えた揚力の発生について述べました。これは翼幅が無限に大きい場合で、誘導抗力を生じません。誘導抗力は、実際の有限翼幅翼の場合に発生にします。

F-5戦闘機

グローバルホーク長時間滞空無人機

これより、

ここでAはアスペクト比=b2/S です

抗力全般
圧力抗力
摩擦抗力
誘導抗力

低速性能に関しては、揚抗比最大となる速度での抗力が問題で、そのときの誘導抗力は全抗力の半分を占めます。抗力内訳と飛行速度の関係を左図に示します。

旅客機は上昇時、高空巡航時に誘導抗力の割合が大きいので、少しでも翼幅を大きくしようと設計に苦心をしています。
なお、旅客機の高空巡航中というのは、速度は音速に近いけれども、空気密度が小さいため動圧はあまり大きくなく誘導抗力が問題になります。

重量はほぼ同じだが翼幅が大きいと誘導抗力が小さい

飛行機から影響を気流の断面の範囲は翼幅を直径とする円

抗力内訳と飛行速度

誘導抗力

ε と揚力係数CL の関係は、図より揚力L=F・2εであり、またLCL使って表せるので、


初期設計
外形形状
揚力
安定操縦
構造・装備との調和
抗力
誘導抗力の大きい飛行条件と翼の設計

誘導抗力は、次のとおりとなります。


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飛行に伴い影響を受ける気流の範囲は、楕円を平面形とする翼(楕円翼)の場合、翼幅を直径とする円断面の気流の管(流管)と仮定します。(左上から2番目の図)
この流管が翼を通過するとき、翼のため下に押し曲げられた流管の反作用として翼が受ける力が揚力です。揚力とともに下に押し曲げられたことにより、気流方向の力の成分は減少します。減少分は翼に抗力を与え、これが誘導抗力です。
流管を押し曲げる角度は翼幅方向に亘り一定でないのが一般的ですが、楕円翼では一定であることが理論解析により解っています。
以上の条件のもとに誘導抗力を計算します。

楕円翼の影響を受ける流管

誘導抗力の計算
「誘導抗力は翼幅あたり機体重量の2乗に比例、動圧に反比例します。」その理由を説明します。


有害抗力係数と誘導抗力係数については左図の抗力全般での説明を思いだして下さい。
誘導抗力は翼幅あたり機体重量の2乗に比例、動圧に反比例します。理由は別途下に示します。有害抗力は動圧に比例するのに、誘導抗力は反比例することに着目する必要があります。

左の2機種は重量がほぼ同じです。つまり水平飛行に必要な揚力はほぼ同じ、翼幅あたり機体重量に大きな違いがあります。。
右の機体は低速性能を重視し、左の機体は最大速度を重視するからこのような違いが出てきます。
つまり、誘導抗力は動圧の低い低速で大きいので低速性能を重視する右の機体は翼幅あたりの重量を小さく設計しています。
高速性能重視の飛行機では、動圧が大きく誘導抗力が小さくなり有害抗力を小さくできる翼幅の小さい形に設計します。

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水平釣り合い飛行では揚力L=機体重量Wですから、「誘導抗力は、翼幅あたりの機体重量の2乗に比例、動圧に反比例する。」ということになります。

ここでq=(1/2)ρV2=動圧  です。

誘導抗力

ウィングレット

但し、εは、sin2ε≒2ε と近似できる十分小さい角度とします。

抗力全般
圧力抗力
摩擦抗力
抗力