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やさしい航空技術ー空力設計

初期設計
外形形状
揚力
安定操縦
構造・装備との調和

水平定常飛行している飛行機にあたる気流は、側面図で見たときは迎角を確保するため下から来る必要があります。一方、平面図でみたときは、真正面から気流が来ている状態が抗力が少なく普通の飛行です。ラダーを使って操縦で真正面から気流がくるようにもできますが、操縦努力が過大にならないように、必要な形状が垂直尾翼です。

xy面内のxy正の位置に目を置いて見た図

飛行機が傾いたとき、エルロンを使って復元させることも可能ですが、常に傾きに応じて操作する操縦は、パイロットを疲れさせます。
機体には、その形状により復元する特性があることが望まれます。それが上反角効果です。

飛行機は揚力を得て飛ぶだけではなく、姿勢の確保が重要です。機首上下、機首左右、横への傾き、あげくのはて背面でも自由自在の姿勢に操縦できます。これが飛ぶこと、操縦の楽しさでもあります。一方、一定の姿勢にパイロットがあまり努力することなく保つことも必要とされます。これらの飛行機の特性を称して、安定操縦性と呼びます。飛行機の安定操縦に関して形態設計上重要な、水平尾翼、上反角、垂直尾翼を取り上げて説明します。

Copyright (C) 2010 by Hidehiko Nishiwaki Professional Engineer AeroSpace Registed No.45904 . All Rights Reserved

飛行機を後から見ると、翼は機体の水平面から上に反っています。
この反り角を上反角といいΓ で表します。
機体が水平姿勢から横にΦ だけ傾くと、機体の水平横方向 y にWsinΦ の分力が生じます。
すると機体はy 方向に運動始めます。
すると機体前方から受ける気流は機首に正対せず斜めからとなり、その角度を横すべり角β で表します。

●飛行機が傾くと横滑り状態になる。固有安定を有する飛行機は操舵をしなくとも、横滑りを利用して、傾きから復元することができる。
●横滑りした側に反対向きの傾きを生むモーメントが発生するとき、飛行機は固有の横安定を有する、という。上反角効果ともいう。
●上反角効果は、主翼の上反角よってだけでなく、後退角があるとき、高翼の場合、垂直尾翼が大きい場合にも生じる。

抗力

飛行機に迎角0 で向かう気流の方向から見ると、手前の翼は下側が見え、向こう側の翼は上面が見えます。即ち、手前側は迎角増、向こう側は迎角減となります。




















初期設計
外形形状
揚力
安定操縦
構造・装備との調和
抗力

上反角と垂直尾翼の関係

●上反角、垂直尾翼いずれも横滑り角β が発生すると機能します。
●上反角が垂直尾翼面積に対して過大だと、復元モーメントが強く、ダッチロール運動 という不安定が生じます。
●垂直尾翼が上反角に対して過大だと、スパイラル運動 という不安定が起こります。
●両者のバランスが取れた設計が必要です。

水平尾翼
上反角・垂直尾翼


通常飛行中の迎角を取った状態でも手前の翼の迎角は増え、向こう側の翼の迎角は減ります。揚力は手前側で増え、向こう側で減り、復元モーメントを生じます。 式で示すと左図の通り。手前側翼の迎角はβΓ だけ増えることになります。

x軸はこの点、向きはこの面の向こう側

垂直尾翼

上反角・垂直尾翼

飛行機に気流が斜め前方からの角度β であたると、
垂直尾翼には横力Lv が発生します。
Lv は重心周りにβ を小さくする向きのモーメントを発生します。このように風の方向に向かうので、風見安定または方向 安定 と呼びます。
垂直尾翼の効きを示すパラメータとして、垂直尾翼容積比Vv が使われます。


上反角・垂直尾翼
水平尾翼

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上反角まとめ